「うつ」を克服した人達
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体験談
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回復のきっかけは自分を見直すことと信頼できる医者の薬を飲むこと
  倉嶋 厚さん写真 倉嶋さんが、うつ病の人に言えることは、うつ病は必ず治るということ。

「ごく普通の病気なんだから、精神神経科という名前を恐れないということだね。そして、信頼できる医者の指導のもと、言われた薬を必ず飲むことが大事。」

 倉嶋さんは、奥様を亡くされた後に知人に紹介されたお医者さんを受診した。

「家の近くの病院で通いやすいこともありましたが、病気についてもうつ病のメカニズムをわかりやすく説明してくれて、投薬の効果や必要性を納得した上で治療に臨むことができました。ところが、順調に回復の兆しをみせていたころに思わぬ落とし穴がありました。回復したような気になった私は、新しく来た仕事のオファーを全部引き受けてしまったんです。しばらくしたらまたガクンと調子が落ちてしまいました。仕事で無理をしたのもあるのでしょうが、気分が少しでも上向いてくると、自分の調子に会わせて勝手にくすりの量をへらしたり、止めたりしたこともいけなかったんでしょうね。とにかく信頼できる先生の言うとおりくすりは飲むこと。副作用の弱いくすりもできてきているし、量を減らしたければ症状を先生に伝えて、先生に判断してもらうこと。それがとても大切だということが、よくわかりました。」

 くすりのほかにもうひとつ、倉嶋さんを回復に向かわせたものが、本の執筆だったという。今までの人生、そして奥様との歴史、仕事とまわりの人とのかかわり。そういうものを書いていくうちに、ひょっとしたら奥様も自分と結婚して幸福だったのではないか…と思えるようになってきたそうだ。「言わば、自分の人生の見直しですね。本を書くということは、事実をひとつひとつ取りあげて、その時の気持ちを振り返るわけです。ひとつの事に対して、こう考えたからこういう感情が出てきたのだなという見直しができたのです。私は、本を書くということで、妻との生活を振り返りながら、“ああ、あんなこともあったな”、 “あのときは幸せだったな、妻も喜んでくれていたな”と、思い出していくうちに救われていくような気持ちになりました。まったく違う面から、自分やその環境を見直すことができたのは、本当によかったと思っています。極端なことを言えば、”そうとでも考えなければ私は生きていられないんだ”という開き直りがあってもいいということですよね。平たく言えば、ものは考えよう。考えを変えて、少し気分を楽にしてもかまわないんだと思う事が大切なんですよ。」

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