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小川 宏さんの 体験談 |
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藤臣 柊子さんの 体験談 |
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竹脇 無我さんの 体験談 |
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倉嶋 厚さんの 体験談 |
● 音無 美紀子さんの体験談 |
| 乳がんだと分かって手術を受けたのは、18年前のこと。 今は乳がんだったことを隠すことはなくなりましたが、当時は自分の弱みを見せることが嫌で、乳がんということは隠していました。仕事がこなくなるんじゃないか、世間でいろいろ噂を立てられるんじゃないか・・・、様々なことが気になって。 女性として乳房を失うということに、耐えられない苦しみや不安があったのに、それでも他人に弱みを見せられない自分がいて、入院中も、とにかく明るくしていました。
だけど、入院しているうちに、社会から取り残された疎外感みたいなものを強く感じるようになってしまって・・・。お見舞いに来てくれた姉や妹から感じる外の臭いに、焦りを感じたんですね。病院から出て行く彼女たちを病室の窓から見ていて、「あー、社会に戻って行くんだ。私も早く戻らないと・・・」って、そんな焦りがだんだん強くなっていきました。だから、「手術して悪いところを取って、入院前の元気な自分ともう何も変わりはない」、そう自分にいい聞かせて、一日も早く退院するために、リハビリもほかの人の何倍もがんばったんです。乳がんという壁を全速力で突っ走り、もとの生活に戻って来たのは良かったのですが、そこには自分が想像していたのとはまったく違う現実が待っていました。 左胸を手術したので子供を抱けないし、子供をお風呂に入れられない、その上、ちょっとした重みのあるものでも傷口が痛むから左手を自由に扱えなくて、自分の髪にドライヤーを当てるといった簡単なことも思うようにできない状態。 早く子供たちに手料理を食べさせてあげたいのに、左手を傷つけてはいけないため、包丁を持って料理をすることもできず、あんなにはりきって退院したのに、現実の生活では何ひとつもとの自分には戻れていなかったのです。 「乳がんという大病をしたのだから、ゆっくりもとの生活を取り戻して行けばいい」と思えていたら、結果は違っていたのかもしれません。でも、当時の私にはそんな風に考える余裕はなくて、何もできない自分に自信を失っていくばかりでした。このころから、少しずつこころのバランスが崩れ始めていったのです。 |