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以前のように明るく振舞うことができなくなって、自分が今までとは違ってきていることに気づいてはいたのですが、それでも依頼された仕事を断ることができずに女優の仕事は続けていました。
あるドラマの撮影のために衣装合わせに行ったとき、用意されていた衣装に私は凍りつきました。胸元が大きく開いた、ノースリーブのシャツ。 左胸に手術の跡があり、腕には抗がん剤を何度も投与した注射痕が青いアザになって残っている今の私には、とても着ることのできない衣装。 自分の状況を正直に話して、衣装を変更してもらえばよかったのですが、乳がんの手術を受けたことを隠し続けていたために、「腕が太いからこのシャツは嫌だ」とか「こんなに胸元は出したくない」とか自分でも恥かしくなるような言い訳をつけ、監督に衣装の変更を交渉していました。 嘘をつく度にこころが締めつけられ、だんだん自分がなくなっていくような感じがしていました。もう、こころも体も限界のところまできていることは分かっていたのですが、なんとか撮影まで自分を奮起させながら踏ん張って。 ところが、撮影を明日に控えた最後の読み合わせで、まったく声が出なくなってしまったのです。 監督に何度指摘されても、どんなに自分で振り絞ってもまともな声が出せず、女優が人前で声が出せないという屈辱的な状況に、私のプライドはズタズタ。 「カメラの前で、声が出なかったらどうしよう・・・」、その不安を跳ね除けるパワーはもう残ってなく、翌日から始まる撮影を土壇場でキャンセルしてしまったのです。 この日を境に、私は本格的なうつ状態に入っていきました。 |