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| 「そうだ、いいことを教えてあげる。」と、竹脇さんがうれしそうに話し始めたのは、お姉さんの家で飼っていた“パクちゃん”という金魚の話だった。「うつの人はね、金魚を飼うといいよ。2匹くらいね、ちいさいときから飼うの。えさも3〜4日に1度やればいい。それで、えさをやるときには必ず、金魚鉢をコンコンとたたくの。そうやって餌をやりつづけて1か月くらいすると、コンコンとたたくだけで金魚が口をあけて浮いてくる。それがすごくかわいいんだよ。本当にいじらしいよね。」 最初はおっくうだった餌やりも、次第に楽しみになりはじめたという。小さなことでもいい、無理をせず少しずつ何かを始めてみるのが、うつには大切だと言う。「うつの間ずっと寝ていると、不思議なことに、仕事とか人間関係とか、いろんなことが見えてくるんだよね。それにさ、ずっと暗い部屋にとじこもっていると、だんだんばかばかしくなってくるもんだよ。なんでこんなことやっているんだろうって。そうすると、まずはカーテンを開けてみようとか、部屋の空気をいれかえてみようとか、ちょっとあいつと話してないから話してみよう、とか思うわけ。それで、なんだか自然と自分の中に生活が戻ってくる。」 うつ病の経験から、生き方や仕事でそんなに悩むことはないという竹脇さんは、同じ症状で悩み苦しむ若者たちにもメッセージをくれた。「若いときは、人生ってたいしたことがあるって思って、肩に力が入ってたけど、今になってみたら意外とたいしたことないんだよね。だから悩むことなんてない。 自分で夢やしたいことを決めればいいの。小さなことでもいいんだよ。さっきの金魚の話みたいに、帰ってきたらちょっとエサをやるとかさ。そんなことでもいいんだ。小さい夢をたくさんもっていれば、夢はいずれ大きくなる。そうやって自分で夢をつくればいい。人間、生きてる限りきっといい人に会えるし、いいことがあるよ。今は、うつ病で辛いかもしれないけど、うつはね、時間がかかっても“ちゃんと治る病気”なんだよ。ゆっくり休んで、ちゃんと治療を受ければね。」 竹脇さんが男っぽい口調で語る、言葉のひとつひとつには、温かさが滲み出る。それはきっと、うつ病と闘い続けてきた竹脇さんが話すからなのだろう。 長いインタビューが終った後に、竹脇さんがこれから演じてみたい本の話をし始めた。それは、今までの画面をとおしての竹脇さんからは想像もできない、ちょっとニヒルな悪人が主人公の話。その悪人が最後に見せる正義と男気が気に入ったと、ストーリーを延々と少年のように目を輝かせながら語る姿が印象的だった。11月からは、新生/竹脇無我の初舞台ともいえる「妻たちの鹿鳴館」が明治座で始まる。無理せず自分のペースで治しながら意欲的に仕事にも復帰しつつあるようだ。 |
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